精神障害者手帳2級のメリット・デメリット|10年使った僕の実感

制度・手帳

映画の割引がきっかけ

精神障害者保健福祉手帳(以下、精神障害者手帳・障害者手帳)を取得して、今年で10年になります。

きっかけは映画の「障害者割引」でした。ADHD、双極性障害と診断されたとき、映画館の割引って精神でも使えるのかな、となんとなく思ったんです。

でも正直、手帳って療育とか身体の人が持つものだと思っていました。

ネットで調べてみると、精神障害者手帳でも映画の割引は受けられることが分かりました。それどころか、税金の控除、交通費の割引、通信費の割引まで、想像以上に多くの制度が使えることをこの時初めて知りました。この記事では精神障害者手帳2級を取得した僕が感じるメリット・デメリットを紹介します。

申請は思ったより楽。診断書は高い

僕が取得するまでの流れとしては、ネットで「どうすればいいか」を確認して、主治医に診断書を書いてもらい、それを役所に提出しました。体が重い時期にできるものではないですが、僕の中では比較的楽に感じました。

ただ、申請後は「本当にこれで通るのか?」「等級はどうなるのか?」「診断書が無駄になるかもしれない」とずっと不安はありました。主治医は特に肯定も否定もせずちゃんと書いてくれました。修正対応も一度まではしてくれる心療内科だったので助かりました。

一番ためらったのは診断書の費用です。手帳用の診断書は保険適用外で、僕の通院先では8,800円です。大きい病院だと10,000円近くになることもあります。精神疾患で収入が限られている状態でこの出費は正直キツいですよね。しかも手帳は2年ごとに更新があるので、そのたびに同じ費用がかかります

ここで知っておいてほしいのが2つあります。

1.障害年金を受給している場合、年金証書で申請できること

年金の障害等級がそのまま手帳の等級に反映されるので、高い診断書を書いてもらう必要がなくなります。これだけで一万円近く浮くので障害年金を検討されている方は覚えておいて損はしないですよ。

2.自治体の診断書料助成制度

市町村民税非課税世帯を対象に、診断書の費用を全額または一部公費で負担してくれる自治体があります。事前に窓口で「無料券」を発行してもらう方式と、先に払った場合に領収書を持っていけば払い戻しされる方式があります。僕の住む堺市では「無料券」の方式を採用しており立て替えがないのでかなり助かります。ただし払い戻し方式には期限があるので、放置しておくと負担してもらえなくなるため注意が必要です。

自立支援医療との同時申請で診断書代を節約

自立支援医療(精神通院)を使っている人は、手帳と同時に申請すれば診断書が1枚で済みます。自立支援は1年更新、手帳は2年更新ですが、タイミングが合えば2年に1回は1枚の診断書だけで両方対応できます。診断書代を大幅にカットできるためぜひ利用しましょう。

申請から届くまでの流れ

申請してから手帳が届くまでは、だいたい1〜2ヶ月程かかります。審査は都道府県の精神保健福祉センターで行われ、結果が出るまでは気長に待ちましょう。

更新は有効期限の3ヶ月前から受け付けています。自宅宛に「更新のお知らせ」の文書が届くことが多いですが、見逃したり忘れないように気をつけてください。

精神障害者手帳のメリット・デメリット一覧

ここから先は、僕が10年間で実際に使った制度と、使えなかったケースをメリット・デメリットとしてまとめます。

メリット
  • 障害者控除(2級・3級で所得税27万円 / 住民税26万円の所得控除)
  • 交通費の割引(JR・私鉄の運賃が半額になるケースあり)
  • 通信費の割引(大手キャリアの障害者向けプラン)
  • 障害者雇用枠での就職
  • 映画・レジャー施設の割引
  • NHK受信料の減免
知らなかったこと | デメリット
  • 制度は自分で調べないと誰も教えてくれない
  • 2年ごとの更新手続き(診断書代がそのたびにかかる)
  • 制度によっては手帳の所持を明かす必要がある
  • 障害年金で手帳を申請している場合、年金の等級変動が手帳にも直結する

10年で実際に使った制度

確定申告の障害者控除

実は精神障害者手帳でも障害者控除を受けられます。

等級所得税控除住民税控除
1級(特別障害者)40万円30万円
2級・3級(一般障害者)27万円26万円

自分で確定申告する場合は障害者控除の欄にチェックを入れるだけです。扶養に入っている場合は、扶養者側の所得から控除されるので、世帯全体の税負担が下がります。企業にお勤めの方は障害者手帳を社内の経理担当者などに提出してください。普段の年末調整と同じように処理してくれます。

交通費の割引

2025年4月からJRでも精神障害者手帳の割引が始まっています。

種別対象等級利用形態割引条件割引内容
第1種1級単独利用片道100km超普通乗車券が半額
第1種1級介護者同伴距離制限なし本人・介護者の普通乗車券が半額
第2種2級・3級単独利用片道100km超普通乗車券が半額
第2種2級・3級介護者同伴介護者の割引なしー

いずれも普通乗車券が対象となり特急券は対象外です。また、2級・3級に関しては介護者の割引はありません。

JRでは2級・3級は「第2種」に分類されて、片道100kmを超える区間で普通乗車券が半額になります。お盆や年末年始でも利用できます。

僕の実家は九州のため、帰省の際に新幹線で障害者割引を使いました。そのほか近鉄特急で割引切符を購入したりANAの航空券の割引を利用しています。

2025年4月以降に発行・更新した手帳には最初から種別が印字されていますが、それ以前の手帳の方はお住まいの自治体の窓口で手続きが必要です。また、写真付きの手帳であることが条件なので、写真なしで発行した人は再交付が必要です。

通信費の割引

大手キャリア(docomo・au・SoftBank)には障害者向けの割引があります。僕はドコモの通常プランからahamoへのプラン変更をするまでは、ドコモのハーティ割引を使っていました。

大手3大キャリアのメインプランであれば適用されるケースが多く、特にドコモは音声通話5分かけ放題(月額770円)を無料で契約することができます。病院や役所の問い合わせにも十分対応できるのでおすすめです。なお、楽天モバイルには障害者割引は導入されていません。

ただし格安SIMの方が安いケースもあるので、詳しくは別の記事でまとめます。

障害者雇用

「障害者雇用」という言葉は最近どこでも聞くようになりましたよね。精神障害者手帳は他の手帳同様に障害者雇用枠で働くことが可能です。僕自身もパートに採用していただいたことがあり、同じく発達障害や精神障害を患う方を扱う部署だったので会社内からの障害に対する理解はかなり大きく、柔軟に接していただきました。他人を気にして働けない方や自信のない方にもおすすめな雇用形態なのでぜひチェックしてみてください。

知らなかったこと・デメリット

知らなかった|NHKの受信料減免

正直に言うと、NHKの受信料減免は知りませんでした。僕がテレビを持っていないというのもありますがほとんどの家庭は地上波の映るテレビを持っていると思うので記述させていただきます。

手帳を持っている人がいる世帯で、世帯全員が住民税非課税であれば、等級に関係なくNHK受信料が全額免除になります。1級で世帯主かつ受信契約者の場合は半額免除もあります。

2年ごとの更新手続き

僕は発達障害、双極性障害のため後回しにしてしまったり運悪く体調が悪いときがあります。そんな時の更新手続きはかなり大変です。更新用の書面をもって、証明写真を撮って、役所に行く。考えるだけでも腰が重いと感じるのは僕だけではないと思います。僕の場合は更新手続きのお便りがきたら次の通院日と合わせて済ませるようにしています。

制度によっては手帳の所持を明かす必要がある

例えば、障害を隠して働くにあたって障害者手帳を提出しなければ前述した障害者控除を年末調整で適用することはできません。対応策として年末調整を断り自分で確定申告する方法もありますが、「なぜ?」となりますしハードルは高いと思います。ただ、提出をしなければ職場にバレることもありません。

年金の等級が手帳にも反映される怖さ

年金証書で手帳を申請できるのは大きなメリットです。しかし障害年金の等級がそのまま手帳の等級に反映される点には注意が必要です。僕の場合、障害年金2級というのもあり手帳も2級の更新を続けています。今のところ等級が変わったことはありません。しかし、障害年金の更新審査で等級が下がれば手帳の等級も下がる可能性があります。診断書代がかからないのはありがたいですが、年金の審査結果が手帳に関係してくる不安は正直感じています。

手帳を持つことへの心理的な話

「障害者手帳を持つ=自分は障害者なんだ」という抵抗感がある人もいると思います。

僕の場合は特にありませんでした。人に見せるものでもないし、見せる場面があっても、基本は同じ障害を持つ人が多い場所です。

今はミライロIDというアプリがあり、手帳の情報をスマホに登録しておけば手帳そのものを持ち歩く必要がありません。劇場への入場もスマホの画面を見せるだけで済むのは心理的にもかなり楽です。

ただ、先程も触れた通り障害者手帳を隠して働くと年末調整で障害者控除を適用することはできません。つまり、障害をオープンにするか隠すかで使える制度が使えなくなる点には注意が必要です。

取得してよかった

結論として、障害者手帳を取ってよかったです。

2年に一度の更新は正直面倒です。でも、持っている安心感は大きいし、節約できている部分も多くあります。特に映画の鑑賞。通常料金では迷う「ちょっとだけ気になる作品」を1000円で気軽に鑑賞できるのは僕的にはかなりの強みです。レジャー施設でも役に立ちます。

「障がい者の癖に元気にユニバ来てるな」みたいに自分で思う必要はありません。手帳を取得できたのだから、その権利を使っていいものだと僕は思います。

自治体によっては受けられるサービスをまとめた冊子の配布やPDFも公開されています。お住まいの自治体でどのようなサービスが受けられるか確認してみてくださいね。ただ基本的には優遇される制度は自分で調べる必要があります。僕のように10年経ってから「知らなかった」と気づくものもあります。

この他にも新たに知ったものに関してはこの記事で加筆するか別の記事でまとめさせていただきます。

この記事が、手帳を取ろうか迷っている人の参考になれば嬉しいです。


「手帳を持っていると保険に入れないんじゃ?」という疑問については、告知義務の仕組みや実際に入れる保険の選択肢も含めて、別の記事でまとめる予定です。

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